遠方の相続手続きの進め方
ご実家から離れて暮らしている場合や、逝去された被相続人や他の相続人が遠方にお住まいの場合に、どのように相続手続きを進めていくべきかお困りになり、ご相談いただくことがあります。
そこで、被相続人や各相続人が遠方にお住まいの場合の相続手続きについて、お話しさせていただきます。
遠方の相続手続きを進める方法
結論からお話ししますと、逝去された被相続人や、各相続人の住所が遠方であっても、相続手続きを進めることは可能です。
具体的には、主に郵送の方法により、相続の手続きを進めていくこととなります。
被相続人や各相続人の住所が遠方ではない場合、直接窓口へ行き、書類の取得・提出を行うのが一般的です。
もっとも、役所での戸籍謄本等の収集手続や、金融機関への必要書類の提出について、郵送で対応している機関が多いため、必要書類の収集・提出は、遠方に住んでいても、手続きを進めていくことができます。
また、被相続人に遺産があり、遺産分割が必要な場合、遺産分割協議書を作成する必要があります。
この場合も、遺産分割の内容について、相続人間で電話等の方法により話し合い、合意できるのであれば、遺産分割協議書を郵送でやり取りすることによって、遺産分割協議書を完成させることが可能です。
郵送による手続きの注意点
郵送で相続手続きを進める場合でも、以下のとおり、何点か注意すべき点があります。
遺産分割について相続人全員が合意していることが必要であること
遺産分割協議書を作成するにあたっては、相続人全員が、遺産分割の内容について合意している必要があります。
1人でも遺産分割の内容について、合意していなかったり、連絡が取れない相続人がいたりすると、遺産分割協議書を作成すること自体できません。
郵送のやり取りに時間と手間がかかること
例えば、戸籍謄本等を郵送で取得する場合、必要な戸籍謄本等の請求を郵送で役所に行い、役所は、届いた請求を確認し、戸籍謄本等を郵送することとなります。
この書類の郵送自体に時間を要することとなります。
これに加えて、戸籍謄本等の請求に不備がある場合には、役所から訂正を求められることや、改めて戸籍謄本等の請求を求められることが想定されます。
これは戸籍謄本等に限られませんが、相続の手続きに不慣れですと、必要な書類が不足することや、取得したいと考えている書類の種類・内容が十分に相手に伝わらず、取得したいと考えている書類とは別の書類が返送されてきてしまうことも想定されます。
このような場合、複数回にわたり、郵送でのやり取りをする必要がでてきます。
そのため、ご自身で郵送のやり取りをする場合には、時間と手間がかかる可能性があると考えられます。
弁護士による相続手続きの代行
弁護士であれば、職務上の権限に基づいて、戸籍謄本等や必要書類の収集をすることができますし、ご依頼をお受けして、預貯金の解約等の相続手続きを行うことが可能です。
弁護士の費用が発生することにはなりますが、スムーズに相続手続きを進めていくことが可能となります。
遠方の相続手続きについて、お悩みの際には、一度弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。
(弁護士・畠山賢次)