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養子縁組をした場合の相続について

相続に関し、養子縁組を活用するというのは、珍しいことではありません。
このコラムでは、相続に関して養子縁組を活用する場合に、相続関係がどのようになるか、また、そのメリットやデメリットについて解説いたします。
なお、この記事では、相続に際して新たに養子縁組をする場合を念頭に置き、特別養子縁組(裁判所の審判によって6歳未満の子を養子にする制度)を行った場合や配偶者の連れ子と養子縁組を行った場合を含まないことにご留意ください(これらの場合、一部の扱いが異なります)。

1 養子縁組をした場合の相続の権利関係はどうなる?

養子縁組をすることで、次のような相続の権利関係が発生します。

(1) 養親→養子の相続

相続に関して養子縁組を行う主な目的は、養親(養子縁組をする親)の財産を養子に相続させることにあるでしょう。
養子縁組をすることで養親子間の親子関係が発生し、養子は、養親の財産を相続できることになります。
この権利は、実子と変わりありません。
養親に実子がいる場合には、養子と実子の権利は均等になります。

(2) 養子と養親の血族の相続

養子縁組とは、養子と養親の親子関係だけを発生させる制度ではなく、正確には、養子と養親の血族(法律上の血縁関係者)に親族関係を発生させる制度です。
そのため、養子と、養親の親や兄弟姉妹との関係でも親族関係が発生し、条件によっては相続が発生することがあります。

①養親の親(養祖父母)→養子の代襲相続
養祖父母が存命のうちに養親が先に亡くなり、その後養祖父母が亡くなった場合、養親が相続するはずだった養祖父母の財産を養子が代襲相続することになります。
養親に実子もいる場合は、養子と実子で均等に養親の権利を分けます。

②養親の兄弟姉妹→養子の代襲相続
養親の兄弟姉妹に子がおらず、養祖父母も亡くなっている場合、兄弟姉妹である養親がその財産を相続することになります。
そして、養親がすでに亡くなっていた場合は、①同様に、養子が代襲相続することになります。
実子もいる場合は、養子と実子で権利を均等に分けます。

③養親の実子→養子の相続
養親の実子は、養子から見ると兄弟姉妹にあたります。
養親の実子に子がおらず、養親も亡くなっている場合は、兄弟姉妹である養子がその財産を相続することになります。
兄弟姉妹の相続では、亡くなった兄弟姉妹と両親が同じ兄弟姉妹か、片方の親が違う兄弟姉妹かで相続分が異なります。
具体的には、亡くなった方に両親が同じ兄弟姉妹と、片方の親が異なる兄弟姉妹がいた場合、片方の親が異なる兄弟姉妹の相続分は両親の同じ兄弟姉妹の半分とされます。
例えば、養親(故人)と配偶者(故人)に実子が2人いて、実子の1人(子がおらず、配偶者もいないものとします。)が亡くなったケースを想定すると、亡くなった実子との関係では、もう一人の実子は両親が同じで、養子は片方の親(養親)のみ同じということになるので、実子2/3:養子1/3の法定相続分で相続することになります(養親の配偶者とも別途養子縁組をすると、両親が同じになるので、実子と養子の権利が均等になります)。

(3) 養子からの相続

①養子→養親の相続
養子縁組をした場合でも、養子が先に亡くなってしまう可能性があります。
そのような場合に、養子に子がいないと、養親が養子の財産を相続することになります。

②養子→養子の兄弟姉妹
養子に子がおらず、養親も亡くなっている場合に養子が亡くなると、養子の兄弟姉妹がその財産を相続することになります。
この権利にも、親が両方とも同じかどうかが関わってきます。
例えば、養子(配偶者はいないものとします)について、養子の生まれの両親(故人)との間にも兄弟姉妹が1人おり、養親(故人)の実子1人も兄弟姉妹にあたる場合では、法定相続分は2/3:1/3となります(養親の配偶者とも別途養子縁組をする場合、両親が同じになるので権利は均等になります)。

(4) 養子の子との関係

養子縁組は養親の血族と養子の間にのみ親族関係を発生させる制度なので、縁組前に養子に子がいる場合でも、その子と養親やその血族との間に親族関係は発生しません。
そのため、養子が亡くなった後に養親の血族が亡くなった場合でも、養子の子への代襲相続は発生しません。
他方で、縁組後の子は、養親の親族関係の中で生まれたことになるので、養親やその血族とは親族関係にあります。
そのため、養子が先に亡くなり、養親や養親の血族が亡くなったときには、養子の子への代襲相続が発生する場合があります。

(5) 養親の配偶者(及びその血族)との関係

養親の配偶者は養親の血族にはあたりません(親族にはあたりますが、婚姻によって発生する関係は姻族といい、血族とは区別されます)。
そのため、養親の配偶者とも別途養子縁組をしない限り、養親の配偶者やその親・兄弟姉妹と養子の間で相続は発生しません。

2 養子縁組をした場合の相続のメリット

(1) 他人にも相続させることができる

養子縁組をすることで、もともと他人であった養子にも財産を相続させることができます。
もっとも、他人に財産を引き継がせる方法としては、遺言書を作成して遺贈を行うことや、死因贈与を行うことも考えられます。

(2) 本来の相続人にも配慮し、柔軟な分け方ができる

例えば、特定の第三者に財産をすべて引き継がせるという内容で遺贈・死因贈与をしてしまうと、配偶者や実子は相続をすることができず、遺留分という権利を持つだけになります。
これに対し、養子縁組の場合、配偶者や実子と養子で財産を分けることになります。
そのため、配偶者・実子と養子で協議を行い、柔軟に遺産分割を進めることが期待できる場合もあるでしょう。
もっとも、第三者に一定割合の財産を遺贈するという内容の遺言書を作成することもできますので、遺言書の作成という方法でも、第三者と配偶者・実子の間で財産を分けさせることが可能です。

(3) 相続税等で節税効果

養子縁組特有のメリットとして、次のような場面で、相続税などの税金対策になるという点が挙げられます。

①相続税の基礎控除額
相続税には基礎控除額があり、相続財産がこの基礎控除額を超える場合に、基礎控除額を超える部分について相続税がかかることになります。
そして、基礎控除額は、3000万円+600万円×法定相続人の数です。
そのため、養子縁組をして相続人を増やすことで、基礎控除額が増加し、相続税を軽減することができます。
もっとも、養子縁組により基礎控除額をどこまでも増やせるわけではなく、増やせるのは実子がいる場合には1人分、実子がいない場合には2人分までです。
また、相続税対策のみを目的とする養子縁組(例えば、形だけ養子縁組して、実際には養子が何も相続しない場合など)であれば、相続税の負担を不当に減少させるものと考えられ、基礎控除額の計算で考慮してもらえない可能性があります。

②生命保険・死亡退職金の非課税枠
相続税のほか、生命保険の保険金や、死亡退職金についても、同様に、相続人の数に応じた非課税枠が定められているため(500万円×相続人の数)、これらが発生する場合には、養子縁組をすることで非課税枠が増え、相続税対策ができます。
実子がいる場合には1人分、いない場合には2人分という上限も相続税と同様です。

③第三者を養子にする場合(遺贈や死因贈与との比較)
遺贈や死因贈与で第三者に財産を取得させる場合も金額によっては相続税が発生するのですが、その際の税額は、親・配偶者・子が相続する場合の相続税額から2割が加算されることになっています。
これに対し、養子への相続(後述の孫を養子にする場合を除きます。)であれば、このような加算はされません。
また、不動産については相続税のほかに登記の際に登録免許税が発生するのですが、遺贈ではなく養子に対する相続にすることで、税率が下がります(固定資産評価額の2.0%→0.4%)。

④孫を養子にする場合
親から孫への相続では、本来、親から子への相続、子から孫への相続の2段階で相続税が発生するのですが、養子縁組を行い、あらかじめ親から孫への相続を発生させることで、子から孫への相続で発生し得る相続税をカットできる場合があります。
他方で、一部の相続税が加算されるので、この点は注意が必要です。
孫(養子)と養子縁組をして、子(実子)の存命中に親(養親)が死亡し、親(養親)から孫(養子)への相続が発生する場合、ここにかかる相続税が2割加算されます。

(4) 手続きが比較的容易

遺言書の作成と比較したとき、手続きが比較的容易であるというのも、養子縁組のメリットといえるでしょう。
遺言書は、本文をすべて手書きで作成したり(自筆証書遺言)、公証役場で作成したり(公正証書遺言)といった様式を備える必要があります。
自筆証書遺言であれば、適切な文面を考えなければなりませんし(内容が十分に特定されていないと、遺言書の意味をめぐってトラブルが発生する可能性があります)、公証役場を利用する場合は料金がかかります。
これに対し、養子縁組は、成人を養子にする場合(後見人が被後見人を養子にする場合を除きます)であれば、役所で用紙を取得し、必要書類(戸籍など)を用意して届出をすることのみで効力を発生させることができます(養子に配偶者がいる場合であれば、配偶者の同意を得る必要があります)。

3 養子縁組をした場合の相続のデメリット

(1) 遺産分割で紛争が発生する可能性がある

養子縁組をした場合でも、遺産分割は相続人間の協議や調停・審判で行うことになります。
その際、特にほかの相続人との関係の薄い第三者を養子にしたような場合などは、養子縁組により自己の取り分を減らされたことに反感をもたれてしまう可能性があります。
そのようなケースでは、遺産分割で紛争が発生してしまい、養子に負担をかけてしまうことにもなりかねません。

(2) 予期していない相続が発生する可能性がある

養親の財産を養子に相続させるために養子縁組をしたとしても、上述のとおり、養子縁組によって発生し得る相続関係は、これだけではありません。
予期せぬ相続関係の発生により、法的紛争が発生したり、相続放棄などの手続きをする手間がかかったりするというのは養子縁組のデメリットであるといえるでしょう。

(3) 変更が難しい

遺言書であれば、考え直したときや事情が変わったときでも、新たに遺言書を作成すれば、そちらが優先されますので、対応は比較的容易です。
これに対し、有効に成立した養子縁組を解消する場合、離縁の手続きをする必要があります。
養親と養子の協議で離縁がまとまれば問題ないのですが、養子が拒否する場合、裁判を行う必要があり、しかも離縁が認められるのは法律上の要件を満たす例外的な場合にとどまります。
したがって、養子との関係が悪化した場合でも、養子が拒む限り親子関係を消滅させることができず、養子への相続が発生することになります(後に養子には相続させない内容の遺言書を作成しても、養子には遺留分の権利が残ります)。

4 まとめ

養子縁組は、デメリットもあるものの、相続で活用できる制度です。
・相続税が気になる
・孫に相続させたい
・同性パートナーに相続させたい
・事業用財産を関係者に相続させたい
などの場合は、デメリットも慎重に考慮しながら、養子縁組の活用を検討されてみてはいかがでしょうか。

(弁護士・神琢磨)

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